クリームは英国で、1966年から1968年のわずか2年半活動した、3人のロックバンド。
英国では近い時期に、
ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(1966年〜)
レッド・ツェッペリン(1968年〜)
ディープ・パープル(1968年〜)
が活動していました。
“ハードロックの源流”が次々と生まれてきた時代です。
クリームを結成したのはこの3人。
ジャック・ブルース (Jack Bruce) – ボーカル/ベース/ハーモニカ ※右
ジンジャー・ベイカー (Ginger Baker) – ドラムス ※真ん中
短い活動期間で3人が残していった名盤と名曲を紹介します。
行きましょう!
クリームはロック史上 “初” の「スーパーバンド」
クリーム結成前から、エリック・クラプトンは、”凄腕のブルースギタリスト”として知られていました。
ヤードバーズという英国の人気バンドのギタリストとして在籍。しかし、バンドのポップ路線に反対したクラプトンは他のメンバーと対立。
1965年にヤードバーズを脱退します。
(余談ですが、クラプトン脱退のあと、ジェフ・ベックとジミー・ペイジが加入。ジミー・ペイジ以外のメンバーが脱退した後、ヤードバーズは消滅し、レッド・ツェッペリンが生まれます!)
しかし、ヤードバーズ脱退後に加入したブルースロックバンドでは活躍できず、クラプトンはくすぶっていました。
そんなクラプトンに、以前から知り合いだったドラマー ジンジャー・ベイカーが、新バンド結成を持ちかけます。
ジンジャー・ベイカーは当時からすでに、”凄腕のジャズドラマー”として名を馳せていました。
そのベイカーとクリーム結成前のバンドでダッグを組んでいたのが、ジャック・ブルース。
ジャック・ブルースは幼少のころからクラシック教育を受けたエリートで、途中でモダンジャズに傾倒。彼もまた、当時からすでに“凄腕のジャズベーシスト”として高い評価を得ていました。
そう、クリームは、3人の“凄腕” 一流ミュージシャンが集まった、“スーパーバンド”として、1966年に結成されます!
1stアルバム「フレッシュ・クリーム」- FRESH CREAM(1966年)
クリームは、米国の黒人音楽ブルーズをベースにした「ブルースロック」と、60年代後半に流行した麻薬LSD による幻覚世界を音楽で表現した「サイケデリックロック」を融合させた“新しいロック”を創り出しました。
3人ともに凄腕のミュージシャンなので、1stアルバムの制作はさぞ順調に進むと思いきや、クラプトンは苦境に立たされてしまいます。
クリームの前のバンドですでにベース&ドラムのリズム隊を組んでいたジャック・ブルースとベイカーは、実はとにかくウマが合わず、仲が悪かったんです。
お互いのエゴがぶつかりあい、一緒に演奏しているときでもお互いの演奏を聴きもせず、バラバラになってしまうこともしばしば…。
しかし皮肉なことに、2人の才能がぶつかりあう音楽的な”ケミストリー(化学変化)”が起こっていました。
そうして創られたデビューアルバムは高く評価され、母国英国でまずまずのセールスを残します。
また、ジャズの即興性を大胆に取り入れたベース&ドラムに、クラプトンの情熱的なブルースギターが絡むライブは、観衆を大いに魅了し、評判となっていきます。
Cream – I feel free (1967)
2ndアルバム「カラフル・クリーム」 – DISRAELI GEARS(1967年)
このアルバムでは、ジャケットのデザインに表現されている通り、音楽面でサイケデリックな色彩をさらに強めて、ずっしりと重く激しい曲調に変化しました。
なかでも次の2曲が特に人気を博し、英国にとどまらず米国でもブレイクします。
Cream – Strange Brew
Cream – Sunshine of Your Love
3rdアルバム「クリームの素晴らしき世界」 – WHEELS OF FIRE(1968年)
続く3rdアルバムはなんと、2枚組でリリース。
1枚は「WHEELS OF FIRE(IN STUDIO)」でスタジオ録音盤、もう1枚は「WHEELS OF FIRE(LIVE AT THE FILLMORE)」でライブ盤、で構成されています。
クリームの即興演奏に熱狂していた当時のファンは、2枚のうち「ライブ盤」をより愛聴したそうです。
人気を集めたのは次の2曲。
White Room
CREAM Crossroads 1968
しかし、ここで3人の人間関係は限界を迎え、バンド「クリーム」は崩壊。
もともと仲が悪かったブルースとベイカーの衝突だけでなく、クラプトンのエゴもぶつかるようになり、3人は疲弊してしまい、解散の道を選びます。
解散後、「グッバイ・クリーム」という最後のアルバムをなんとか発表。
その後、クラプトンとベイカーの2人は新バンド「ブラインド・フェイス」を結成します。
そして、ロック史上の名盤と名高いアルバム「スーパー・ジャイアンツ(Blind Faith)」を生み出します(しかしバンドはこの1枚で解散)。
Blind Faith – Can’t Find My Way Home
一方、ブルースはクリーム解散後はソロアーティストとして活動を続けていきました。
以上、ハードロックの源流バンド、クリームの足跡をたどりました。
今聴いても、3人の才能が激突する、曲・演奏、いずれも色あせないパワーがありますね。
今日はこんな感じです。
また会いましょうね。