Embed from Getty Images
ダフト・パンク(トーマ(写真左)ギ=マニュエル(右))
ダフト・パンクの音楽活動28年間で4枚のアルバムの楽しみ方はこちら!
2021年2月22日、突然「ダフト・パンク解散」の発表
発表には「Epilogue(エピローグ)」というタイトルが付けられた動画が添えられていました。
Daft Punk – Epilogue
動画には、「トーマの最期」が映し出されています。トーマが苦悩し、トーマが死を決断し、ギ=マニュエルが受け入れる。
映像には、彼らが音楽で表現してきた「楽しさ」はそこになく、「苦悩」「死」「別れ」が描かれていました。しかも、それをファンにはっきりと伝えて終わりたいと。
なぜ、ダフト・パンクは「解散」、
いや、「死」を選んだのでしょうか。
ダフト・パンク本人達からはっきりとした解散理由の説明や発表はありません。
あくまでも、「Epilogue(エピローグ)」と題された約8分の動画だけです。
であれば、解散理由はこれしか考えられません。
トーマとギ=マニュエルは、「ダフト・パンク」としてやりたかったことをすべて叶えてしまった、が解散理由としてもっとも有力です。
ダフト・パンクが成し遂げた「栄光」はあまりにも偉大で、不自由で、彼らは「ダフト・パンク」としての創作活動を楽しめなくなってしまったのではないでしょうか。
ここからは、ダフト・パンクが、28年間のキャリアのなかで実現した、5つの偉大な「栄光」をまとめます。
【1】憧れのレジェンドたちとの共演、グラミー賞 受賞 4部問制覇!
2013年にリリースされた最後のスタジオアルバム「Random Access Memories」は、ダフト・パンクのルーツであるレトロフューチャーなシンセサイザーやファンクが満載。これまでのテクノ色は控え目で、生歌・生演奏を重視。参加アーティストはレジェンド級のゲストばかり。
そして「Random Access Memories」は、グラミー最優秀アルバム賞ほか主要部門を制覇。さらに授賞式でのパフォーマンスでは、レジェンド級ゲストたちとライブパフォーマンスで共演(ナイル・ロジャース、ファレル・ウィリアムズにスティービー・ワンダーも参加)。
まさに、音楽活動の頂点と言える瞬間でした。
Daft Punk feat. PHARRELL WILLIAMS & STEVIE WONDER Grammy
Daft Punk – Lose Yourself to Dance (Official Version)
【2】現役トップスター ザ・ウィークエンドとの共作が大ヒット、全米1位を獲得
「現代のマイケル・ジャクソン」と言われるカナダ出身のR&Bシンガー ザ・ウィークエンドとの2曲のコラボレーションは、2曲とも全世界で大ヒット。
前作「Random Access Memories」同様、黒人アーティストとの共演。さらにエモーショナルでムーディな世界観へ挑戦しました。
ダフト・パンクの2人は前作に続くヒットに、コンポーザー(作曲家)としての手応えを強く感じる一方で、「パフォーマー」としてのダフト・パンクの今後に疑問を感じたとしても不思議ではありません。
The Weeknd – I Feel It Coming ft. Daft Punk (Official Video)
The Weeknd – Starboy ft. Daft Punk (Official Video)
【3】憧れのアニメ作家 松本零士先生とアニメオペラ制作!
トーマとギ=マニュエルは、子供のころから松本零士の大ファン。特に「キャプテン・ハーロック」がお気に入り。
彼らが初めてロボットの衣装に身を包んだ2ndアルバム「Discovery」のMVを、松本零士先生に熱心に熱心に要望。
念願かなってアルバムからなんと3曲(!)、「One More Time」「Aerodynamic」「Digital Love」のMVを、”松本アニメ”として制作します。
さらに意気投合した松本零士とダフト・パンクは、なんとアルバム「Discovery」全編で構成されたアニメーションオペラ「インターステラ555」を完成させます。
トーマは音楽だけでなく、原案と脚本を担当。
アニメの神様と一緒に67分の「映画」制作を実現します。
Daft Punk – One More Time (Official Video)
Daft Punk – Aerodynamic
Daft Punk – Digital Love
【4】憧れのディズニーSF映画のサントラを全面的に担当!
トーマとギ=マニュエルは、米国ディズニーのSF映画「トロン」(1982年)の大ファン。
「トロン」は82年当時、映画史上初めて映画全編にCGを導入した画期的な映画で、そこに映し出された世界はまさにレトロフューチャー。ダフト・パンクの世界観は「トロン」から非常に強く影響を受けています。
その28年ぶりの続編「トロンレガシー」が2010年にディズニー映画として公開。その映画音楽の担当をダフト・パンクが担当。レトロゲームミュージックのようなテーマ曲は、ダフト・パンクのテクノの魅力が満載で話題となりました。
ダフト・パンクは、松本零士先生とのアニメ映画、ディズニーの「トロン」の2作品で、映画音楽という新たな創作世界を大いに楽しみ、自分たちの音楽にさらなる可能性を感じます。
Daft Punk – Derezzed (from the movie TRON: Legacy)
【5】音楽&光、究極のライブパフォーマンスを実現!
ダフト・パンクの最後のライブツアーとなった3rdアルバム「Human After All」のツアーは、(この模様はライブアルバム「Alive 2007」に収録)、EDMという言葉もまだない14年前ですが、今観ても鳥肌モノの圧巻のライブパフォーマンス。伝説のライブとして語り継がれています。
ピラミッド型のブースにトーマとギ=マニュエルが陣取り、1stから3rdアルバムまでのあらゆる曲をパーツ別に分解&再構成したセットリスト。
いくつもの曲が1曲に融合するだけでなく、サンプリングボイスの掛け合いで全く新しいストーリーをつくり、ライブ全体でそのストーリーをつないでいく壮大なパフォーマンスでした。
また、ライティング、レーザー、映像は音楽と完全にリンクしていて、オープニングからエンディングまでのピークを演出し、観客を扇動します。こんなライブ、観たことない!
音楽・映像・光・パフォーマンス…完成度を究極まで高めたライブにダフト・パンク自身が満足すると同時に、それを上回るライブを作ることが難しいと考えているのでしょう。
実際、ラストアルバム「Random Access Memories」ではライブツアーを行いませんでした。
Daft Punk – Alive 2007 1080p 50p: One More Time, Aerodynamic , Da Funk, Daftendirekt
いかがでしたか。
5つの「栄光」は、いずれも素晴らしいものばかりです。
ダフト・パンクはこの「栄光」を、自らの「解散」によって「色あせない伝説」としてファンに記憶してほしかったのでしょう。
ダフト・パンクを卒業した、トーマとギ=マニュエルの2人は、新たなスタートを切りました。
彼らの名前がどこかにクレジットされて、また音楽シーンに戻ってくる日を、ファンとして楽しみに待ちましょうね。
ありがとう、ダフト・パンク!
ありがとう、トーマ!ギ=マニュエル!
今日はこんな感じです。
また会いましょう!